「ソムリエさんはどんなワインが好きですか?」
めっちゃよく訊かれる質問です。
あとは「赤と白どっち派ですか?」とか。
ぼくの答えは「なんでも好きですよ」ですね。
ワインのいいところのひとつに「バリエーションの豊かさ」があると思います。ざっとあげても
赤ワイン
白ワイン
スパークリングワイン
シェリーやポートといったフォーティファイドワイン
オレンジワイン
アイスヴァイン
フリッツァンテ…
他にも色々。
その様々ある中で「今日の一本」を選ぶことができる…それがまたワインの面白さだと思います。
よく晴れた夏の日に、屋外でピクニックしながら開けるなら、しっかりと冷やしたイタリアの微発泡フリッツァンテなんかいいですね。
仲のいい友達とワイワイ騒ぎながら飲むなら、軽やかで舌ざわりの良い軽口の赤ワイン…イタリアのキャンティサンジョヴェーゼや、ピノ・ノワール。個人的に楽しいイメージのあるスペインワイン。品種はガルナッチャかな。
妻と2人でちょっと映画でも見ながら夜更かししちゃおうって日なら、ゆったりした味わいで濃厚ながらも渋すぎない赤。アルゼンチンのマルベックやカリフォルニアのジンファンデル。樽のしっかり感じられるものがいいな。
それかアイスクリームやチーズと一緒に、極甘口の白なんかも良いですね。
クリスマスや記念日にはやっぱりシャンパーニュ!!あとは、ハートのエチケットで有名なカロン・セギュールなんかを奮発してみたり。
そのような「選ぶ楽しさ」を知ることができれば「その日にぴったりの一本」をどんどん見つけることができるようになるんです。
そこを「この一本が最高で大好きです!」という答えをしてしまうということは、ワインの持つ広がりと可能性をスポイルしてしまう気がするんです。
ぼくはソムリエという仕事を通して、美味しいワインとお料理をお届けしてお客様に喜んでいただきたいという気持ちがもちろんあります。
あるわけですが同時に「ワインを知ることは人生を豊かにしてくれる」ということも伝えたいことのひとつなんです。
お客様とお話して、「こういうワイン大好きです!」という言葉をいただけたとき、「それなら今度ワインを探すときや飲むとき、お店の人に○○と伝えてみてくださいね。きっとお好みのものを案内してくれると思います」とお伝えするようにしております。
そう。
ワインを勉強したいなーという時には「ワインの具体的銘柄を覚えていく」のではなく「好きなワインの特徴を捉えていく」ことが大切なんです。
だからぼくはソムリエ資格を取ってからも、むしろ資格を取って以降、一層ワインを勉強するようにしております。そして知れば知るほど、その膨大さにくらくらしながらも、楽しい気持ちがいっぱいになっております。
だから、そこで出てくる言葉はやはり
「なんでも好きですよ」
なんですよねー。