ソムリエがテイスティングしてみた(17)〜地獄のワイン〜
燃えさかる炎のエチケット。禍々しいフォント。黒と赤を基調としたそのワインに冠された名は「地獄〜インフェルノ〜」
いやー、なんかすごいですね。すごい!ちょっとアレだけどいいじゃないですかこういうのも。
カリフォルニアワインです。ニューワールド。
個人的なイメージですが、ニューワールドワインって、こういう…なんか…、奇を衒ったことをしがちですよね。
誤解を恐れずに言うと商業主義的で、
正直、個人的にはあまり好きではありません。
エチケット。
名前。
度数16%
何をとっても、
話題性、コマーシャル。
これだから、
フランスワインに立ち戻りたくなるんです。
味で勝負せいや!みたいな。
このエチケットなしにブラインドで飲んだら、
飾るもののなくなったこのワインは、どうなんだ?
とか思いますよねー多少。
ガチャガチャ言っててもなんなのでテイスティング。
APOTHIC
INFERNO
2015
アポシック
2015
色味はやはりというかなんというか濃厚で濃いルビー色というよりは黒に近い。ややオレンジがかったディスクにほんのりと熟成感が見て取れます。
香りはカシス、ヴァニラ、ダークチェリー、チョコレート、ココナッツ…甘めの魅惑的な香りがこれでもかと詰め込まれており、香りだけで酔わされそう…
口当たりは…
樽由来のヴァニラフレーバーを軸に、やはりカシスやチョコレート。濃厚で力強く、コクがあるが渋みが穏やかで黒蜜のようなニュアンス。包容力と存在感はしっかりとありながらも、度数16%を感じさせない口当たり。
…すごい!
なんていうか
ずるいよ…
魅力を感じたくないのに
感じたくない、のに--------
-------グラスが、止まらない-----!!
みたいなね!
でも本当そんな感じですよ。
エチケットやコピーライティングだけ上等で、
口にしてみたらまあ普通ってワインも多いわけですが、これはすごく良かった。
ウィスキー樽を使ってるってのも話題性だけじゃあなく、ちゃんとニュアンスも出ているし、なにより着地として味が美味しい。
これって実はすごいことで「これしたら絶対話題になる」ってのと「味」って両立させていくのって難しいと思うんですよ。
やれオーガニック
やれ〇〇賞受賞
エトセトラ…
そういう意味でも、逆に好感が持てます。
デザインやインパクトに隠れちゃいそうになりますが、そこにある造り手の情熱はきっと本物だな!
セパージュあてにも挑戦してみました。
きっとシラーは使われている。特性はあまり出ていないけど、きっとこういうワインはシラーが主体。
あとはよくわからないけどカベルネ・ソーヴィニヨンかな。
シラー75%
カベルネ・ソーヴィニヨン25%
くらい?
正解は…
ジンファンデル51%
シラー13%
ほか
でした。
全然だ…プロセスも雑だ…
言われてみればこのまろやかな濃厚さ、樽と組み合わせるという特性、そしてカリフォルニア。全てのファクターからジンファンデルは導き出すことができたはずなのに。
ダメだ…
マリアージュとしては、濃厚なソースのお肉がいいですね。
塩と胡椒のステーキって感じより、ベリーや赤ワインでソースを作ってるような、しっかりした味わいのもの。
とんかつソースや中濃ソースも合いそう。
それならいっそとんかつか?
合いそう!
20年くらいめいっぱい熟成させても良さそうだなー
なんか品薄っぽい情報をゲットしたので、見かけたら即購入ですね!1500円くらいですし…