WINEBREAKER ワインブレイカー

ソムリエ資格を持つyosukeの、ワインのまめちしきやソムリエ試験対策紹介ブログ。

【ワインラジオ006】-聞き流しワイン知識-スパークリングワインのつくりかたと、女子に人気の「CAVA(カバ)」とはどんなスパークリングワインなのか? という話。

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こんばんは。
ソムリエのYosukeです。
本日は「シャンパーニュの製法と、Cavaの関係」についてのお話をしたいと思います。
前回の「きちんと説明できますか?シャンパーニュシャンパン、スパークリングワインの違い」の続きとしてお聴きいただければと思います。

 

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第5回で

シャンパーニュシャンパン)」とは
1・指定された品種と
2・決められた醸造方法をもって
3・フランスのシャンパーニュ地方で造られたワイン

というお話をさせていただきました。

そして、それ以外の発泡性ワインはすべて「スパークリングワイン」に属する、というお話も。

本日はシャンパーニュの決められた醸造方法をもって…というあたりをもう少し細かく説明することができればと思います。
また、関連いたしましてCavaというスパークリングワインについてお話ししようと思っております。

シャンパーニュたりえる条件の一つの「決められた醸造法」。
そもそもスパークリングワインの製法としては、日本ソムリエ協会のソムリエ教本に準拠すると「4つ」の製法があるとされています。

1.トラディショナル方式(メトード・トラディショナル)これが別名シャンパーニュ方式(メトード・シャンプノワーズ)をとも呼ばれる作り方です。
名前をきいてもわかるように、シャンパーニュに用いられる製法はこちらの作り方です。

2.シャルマ方式(メトード・シャルマ)
スティルワインつまり発泡していないワインを大きなタンクに密閉して、その中で糖分と酵母を加えて第二次発酵を起こさせて作る方式です。
密閉タンク方式(メトード・キュベ・クローズ)ともいわれます。シャルマさんが発見したメソッド、「メトード・シャルマ」というわけですね。

3.トランスファー方式(メトード・トランスフェール)
いったん瓶内二次発酵させたワインを加圧したタンクにあけ、冷却濾過してから新しいボトルに詰め替える方式です。
最初シャンパーニュ方式で造って、その後タンクにあけて仕上げるようなイメージですね。

4.その他ですね。
ソムリエ教本がここであげているのは2つ。ひとつめはメトードリュラルという、発酵途中のワインを瓶に詰め、残りの発酵は瓶内で行うような方式です。
リュラルは田舎という意味がありすなわち「田舎方式」とでもいうのでしょうか。メトード・アンセストラルとも呼ばれていますね。
そしてもうひとつ、炭酸ガス注入方式。加圧してあるタンクにワインを入れて炭酸ガスを吹き込む方式です。


はい。ただいまスパークリングワインの製法を紹介いたしましたがその中のひとつ
「メトード・トラディショナル(トラディショナル方式)」別名「メトード・シャンプノワーズ(シャンパーニュ方式)」に、ついてです。
軽くこの製法の説明をいたしますと、まずスティルワイン(発泡していない通常のワイン)を瓶に詰め、糖分と酵母を加え、
密閉して、瓶内で第二次発酵を起こさせる、という方式なんですね。

二次発酵にタンクを使用するシャルマ方式やトランスファー方式と違い、瓶内にて二次発酵させる。
そこが特徴です。

そして、密閉されているワインの瓶の中で逃げ場のなくなった炭酸ガスは、ワインの中に溶け込むということなんです。
ゆっくりとした発酵と熟成が、きめ細かい泡を造りあげるわけです。
ワイナリーのスタイルであったり、いろいろな要因があるんですが、一般的なスパークリングワインの泡がやや粗いのは、
二次発酵を耐圧タンク内で行ったり、二酸化炭素を充填して造ったり…というところだったりもしますね。

そしてこの瓶内二次発酵方式をもってして作られるワインで代表的なものを挙げるとすれば、
イタリアのメトド・クラシコ
ドイツのフラシェンゲーリング
そして、スペインのカヴァ
あとはもちろん、シャンパーニュ ですね。

この、今挙げた中でピンとくる銘柄があるとすると、やはり「スペインのカヴァ」なんじゃないかなと思います。
カヴァ。女性人気の高いスパークリングのイメージがありますね。お店でも「カヴァが好きでー」みたいに仰る女性のお客様が多かったように思います。
ちょっとこちらのカヴァの説明をしてみたいなと思います。

カヴァ…ってなんか、面白い名前ですよねー。日本語だとあの動物の河馬を連想するからなんだかポップな響きに感じるんでしょうか。
カヴァっていうのはスペインのカタルーニャ地方、カタラン語なのですが日本語で言うと「洞窟」という意味です。
カヴァの瓶内二次発酵が洞窟内で行われていたがためにつけられた名前ですね。

前回と今回のワインラジオ取り上げているシャンパーニュですが「スパークリングワイン」の中でも「決められた品種と醸造法をもってシャンパーニュ地方で造られたものだけが、シャンパーニュと名乗ることができる」
というお話をいたしました。こちらをカヴァに置き換えて説明してみると「決められた品種と醸造法をもってスペインの決められた地域で造られたものだけが、カヴァと名乗ることができる」という感じです。
そして、その醸造法はシャンパーニュと同じ方式であるということです。

シャンパーニュと同じ製法を経ていながらも、お手頃な価格で楽しめるというのも人気の一つかと思います。


すごくすごーく誤解をおそれずに言うと「スペイン産のシャンパン」みたいな感じですね。
で、1960年代ころまでの話なのですが、面白いのがカヴァはそれこそ「シャンパン」とか「シャンパーニュ」という名前で呼ばれていたことがあるんですよね。
しかし「シャンパン」という呼び名は1992年に原産地名称保護制度という決まりで保護されることになりましたので、
スペイン産のCAVA(カバ)は、シャンパンと呼ぶことができなくなりました。
それでは味わいとしては実際どうなのか。カヴァは、シャンパーニュと遜色ないものと言っていいのだろうか。

そこで、カヴァとシャンパーニュに使用される葡萄品種から味わいの違いについて考えてみたいと思います。
シャンパーニュに使用される品種は、
シャルドネピノノワール・ムニエ」が9割以上を占めております。

一方でカヴァで使用される葡萄品種は

白葡萄:マカベオ・チャレッロ・パレリャーダ・マルバシアリオハーナ・シャルドネ
黒葡萄:ガルナッチャティンタ・モナストレル・トレパット・ピノノワール

というように、共通しているものもあれば、いないものもあります。
使用される品種が異なるということはやはりその味わいに影響し、違いが生まれてきます。

そこに加えて、やはり気候の違いですよね。
きわめて冷涼なシャンパーニュに比べて、温暖なスペイン。
葡萄自体の成熟度というか果実味も変わってきますし、そんな気候の変化に伴って、製造過程の一つに「ドザージュ」という、ワインに糖分を加える工程があるのですが、
シャンパーニュはある程度しっかりとドザージュするのに比べて、スペインワインは葡萄自体の果実味がある程度しっかりとしているため、
ドザージュによる糖分はそこまで添加されない傾向にあります。

逆に両者の共通項として挙げるのであれば、泡のニュアンスがどちらかというとシルキーでなめらかな感じは共通している部分があるかなと思います。
これはどちらも瓶内二次発酵…先ほどお話しした「シャンパーニュ方式」とよばれる作り方を経ているせいかと思います。

いろいろなスタイルのカヴァやシャンパーニュがあるため一概には言えないのですが、
そういった違いに着目して飲み比べてみるというのも、面白いんじゃないかなと思います。
以上になります。
そして、本日のワインラジオも、ここまでになります。

さて、いかがでしたでしょうか。
カヴァについてと、シャンパーニュについての少し突っ込んだお話をしてみました。

今このラジオを収録しているのは2019年の4月下旬。
あたたかくなってくると、スパークリングもまた違った楽しみ方ができるかなと思います。
春の陽気の中でお昼にピクニックしながらとか
ウッドデッキのテラス席で楽しんだりとか。
もっと暖かくなってきたら、BBQとかでワインクーラーに突っ込んで冷やしたスパークリングを楽しむなんていうのもすごくいいですよね。

お肉もいいですけど、エビとか海鮮系のものを焼いてレモンと塩とオリーブオイルでいただきながらシャンパーニュを合わせたりとか、ちょっと大人の、ワンランク上なバーベキューっていう感じがしておもしろそうだなと思います。

そんな、バーベキューとワインのマリアージュ動画なんかも、いずれ撮ることができたら面白そうだなと思います。

本日は以上になります。
ありがとうございました。
ソムリエのYosukeでした。