WINEBREAKER ワインブレイカー

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【ワインラジオ005】-聞き流しワイン知識-シャンパーニュとスパークリングワインの違いは、品種・産地・醸造法である話と、ドンペリのピンクがとっても高い理由について。

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こんばんは。

ソムリエのYosukeです。

本日は「きちんと説明できますか?シャンパーニュシャンパン、スパークリングワインの違い」についてのお話をしたいと思います。

 

【ワインラジオ 005】

youtu.be


さぁ。いかがでしょうか。
「なんとなくわかるけど…」という人もいれば「余裕だよ、一般常識だよ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
バーやレストランで「シャンパンください」とお願いした時に
「すみません、お店でシャンパーニュおいてなくて…スパークリングワインならあるんですけど」という経験をされたことがありませんか?

本日はそこを解説していこうと思います。
これはもう、10秒で説明できるんですよね。

結論から言って「シャンパーニュシャンパン)」とはなんななのか?ということなのですがこれは

1・指定された品種と
2・決められた醸造方法をもって
3・フランスのシャンパーニュ地方で造られたワイン

のことです。
すなわち、それ以外の世の中の発泡性ワインは「スパークリングワイン」になる。ということです。

はい。
そういうことなんですね。

シャンパン」「シャンペン」「シャンパーニュ」と、いろいろな呼び方がされていますが、
どれも間違いではありません。フランス語のつづりをどう読むかの違いです。
 最も正式なのは、やはり「シャンパーニュ」。
日本ではワインを「シャンパン」と呼び、地方を「シャンパーニュ」と呼ぶことが多いようです。

シャンパーニュの歴史にちょっと触れますと、誕生したのはイギリスだといわれております。
あれ?っていう。「フランスのシャンパーニュ地方のものしか…」じゃなかったんですか?と思うかもしれませんがこれは
シャンパーニュで造られたワインを樽買いしたのがイギリスで、そうすると購入された樽をシャンパーニュからイギリスに送ることになるわけです。
そして極寒のシャンパーニュから温暖な気候となったイギリスの地にて発泡性を帯び、それをイギリス人が面白がってボトル詰めした。これがきっかけだったといわれております。

シャンパーニュ地方っていうのは本当に、寒いんですよね。
そして、寒いと、葡萄の「酸度」が上がる傾向にあります。

葡萄も果物なので、寒いと酸味が引き立ち、あたたかいと果実味が増してくるような傾向があります。
日本でも、北にある青森ではどちらかと酸がアクセントとなっている果物のリンゴとか。
逆に南の宮崎県では、甘いマンゴーなんかが栽培されております。

ワインに当てはめてみても、
白ワインで有名な「シャブリ」…これもフランスの地域の名前なんですが、ドライで切れのある酸味が特徴的なんですよね。そんなシャブリもやはり冷涼な気候です。

逆にアルゼンチンのワインなんかはとてもふくよかでフルーティ。コクがあってまろやかで濃厚だったりします。
まぁシャブリとアルゼンチンだとつかわれる品種の違いも味わいに違いを生む要素の一つだったりするので、気候がすべてを決定するわけではないのですが
少なくともシャンパーニュの発泡性ワインの誕生にとってはこの極寒の気候が欠かせない要素の一つだったようですね。

この「尖りすぎた酸味」
さらに「春になると生まれてくる泡」

それらはかつてどちらかというとネガティブにとらえれておりました。
なんとかならないものかと考えていた一人の人物がいました。

そして、彼の発想がシャンパーニュの品質を格段に向上させることになったのですが、その人物こそが盲目の修道士ピエール・ペリニヨンことドン・ペリニヨン
オーヴィレーヌ修道院のセラリウス(酒庫係…ミサなどで使われるワインの管理をしたり、醸造をしたりという役職ですね)、

そう、こんにちでも彼への敬意を示した代名詞的シャンパーニュ通称「ドンペリ」として名を残している、シャンパーニュの神様です。
ドンペリニヨン氏は1638年の生まれでして、彼の功績は偉大なものであるとともに、ちょっと伝説じみた面もあるかもしれませんね。

いかんせん、300~400年くらい昔の話なので。

彼のなしたことで外せないのがアサンブラージュ(assemblage)。フランス語で調合、組合せ、寄せ集めと言う意味です。
ワイン業界ではワインのブレンドの事をさす言葉です。シャンパーニュ地方では白ぶどうではシャルドネ黒ぶどうではピノノワールピノムニエの3種類の品種のアッサンブラージュが認められています。

シャンパーニュって、基本的にはノンヴィンテージつまりボトルに作られた年度が書かれていないものが一般的なんですよね。
よいものや、良い出来の年は表記されるワインを作ったりもするんですが。
シャンパーニュは前述したように寒いんですよね。北緯49度と言うぶどう栽培の北限産地であり、年によりぶどうのできにばらつきがあり、品質の安定が難しい産地でした。
それを解決すべくドンペリニヨンが生み出したのがアッサンブラージュ。
エリア別、品種別、年代別に一次発酵後のベースとなるスティルワインを複数用意して、毎年調合をします。スティルワインというのは発砲していないワインのことですね。赤ワインや、白ワイン。
それも、過去何年も前の貯蔵していたものを使います。
これによりヴィンテージにより味わいに開きがでないよう、そのメゾン(メーカー)のスタイル、定番の味を守りつつ、安定したシャンパーニュを常に作り出せるような方法を編み出したというところですね。。

あと面白いのが、昔はネガティブ要素だった「発泡性」「酸味」。これらこそが今や、シャンパーニュの特徴の一つとして認識されているという点ですね
ドンペリニヨンが「泡」に対してとったスタンスが「じゃあもう逆に、泡のたくさん出るワインを作ってしまおう」というものだったんですよ。
「私はいま、星を飲んでいる!」というドンペリニヨンの言葉は今でも伝えられており、そしてその泡が美しく保たれた時、シャンパーニュは席中の人々を虜にしたと、そういわれております。

そしてもうひとつの要素「酸味」。これもまた、シャンパーニュの特徴のひとつです。
好みはありますが傾向として、酸味が引き立ったようなシャープなワインの方が好まれる流れにあるような気がします。
お店で接客していてもそう感じることはすごく多かったですね。
また、さらに言えば最近はシャンパーニュスパークリングワインの甘辛度合いでも「最も辛い・最上級辛口」とされるワイン…
・ブリュット・ナチュール
・パ・ドゼ
・ドサージュ・ゼロ
あたりが注目され始めておりまして、こちらも現在ではかつての欠点が逆に評価基準となっているという、おもしろい形が残っております。

ドサージュっていうのは、スパークリングワインに糖分を加える工程のことなのですが、ここも深掘りするとちょっと面白いところでもあるのでまたワインラジオで取り上げてみたいなと思います。

ところでこのドンペリニヨン、イメージはというとやっぱりクラブとかキャバクラ、ホストクラブみたいなところで飲む高いお酒みたいなイメージがありませんか。
その中でもより高い価格が設定されているドンペリニヨンのロゼ。いわゆるドンペリピンク。ピンドンと呼ばれているものですね。
どうしてこのドンペリピンクがドンペリ白より高価なのかというと

ひとつは「ロゼだから」すなわち、ロゼの色を出すために黒葡萄をブレンドワイン醸造においてはアッサンブラージュと言うのですが、
その黒葡萄とのアッサンブラージュによるひと手間がかかるため。

ふたつめが「そのために使われている黒葡萄がピノノワールであること」。そしてこのドンペリピンクのコンセプトが「ピノノワールのオマージュ」というテーマで造られていること。
なのです。ピノノワール…「世界で最も高貴な品種」ともいわれ、あの「ロマネ・コンティ」も100%ピノノワールによって生み出されます。
そしてドンペリピンクはアッサンブラージュブレンドですね)で、ロゼで、スパークリングながらも、このピノノワールを表現できねばならない。
そのためにかかる手間と技術、管理のための費用がかかるため。

みっつめが「熟成期間の違い」。ドンペリの白は、リリースまでの熟成期間として最低8年間が必要です。たとえば今、2019年に醸造されたドンペリ白はリリースされるのが…2027年ですか。
結構先ですよね。
対してドンペリピンクの熟成期間は、14年。2019年に醸造されたドンペリピンクのリリースは…2033年
なかなか先ですけれどその熟成期間分がコストとしてかかっているということです。

ただそれにしても、高いですよね。

多分にブランド化されているというか、ちょっとのっけっすぎと思うケースが多いというか…どうなんでしょうか。

さて。
本日はスパークリングワインとシャンパーニュの違い。
そこに絡めましてシャンパーニュの神様ことドンペリニヨンのエピソードをお伝えさせていただきました。


シャンパーニュはやっぱり他に類を見ない、唯一性の高いAOCだなと思います。
なので結構紹介したいエピソードがありますね。

たとえば1811年のヴィンテージは「彗星ヴィンテージ」と呼ばれてるんですよね。
シャンパーニュ地方を通過した彗星のおかげで大豊作となったといわれる1811年、
それを記念したすばらしいヴィンテージとして「彗星ヴィンテージ」が造られたりですとか。

あとはブランドブラン「白からの白」というシャンパーニュや逆にブランドノワール「黒からの白」というシャンパーニュですとか。

あとはシャンパーニュ醸造法とか…この辺りを知るとスペインの有名なスパークリングワイン「カヴァ」なんかへの理解もふかめることができますし、

 

よろしければまた、お話しさせていただければと思います。

それでは。
ソムリエのYosukeでした。
ありがとうございました。

 

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https://youtu.be/3tKEVb_Nk9w

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動画内で出てきたワイン
ドン・ペリニヨン
https://www.mhdkk.com/brands/dom_perignon/

動画内で出てきた用語
■ピュピトル
https://www.suntory.co.jp/wine/nihon/blog/16011916.html

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■ワインラジオ
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■ソムリエようすけによるワインの抜栓
https://youtu.be/oz7tet0TJ_8

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ソムリエ試験・ワインエキスパート試験対策
読み上げ音声教材【2019-2020】

日本ソムリエ協会教本 -2019-
Japan Sommelier Association Textbook -2019-
(水色の表紙の教本)

の内容に準拠した音声読み上げ動画詰め合わせです。
随時追加しております。

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ソムリエ試験・ワインエキスパート試験対策
読み上げ音声教材【2018-2019】

日本ソムリエ協会教本 -2018-
Japan Sommelier Association Textbook -2018-
(オレンジ色の表紙の教本)

の内容に準拠した音声読み上げ動画詰め合わせです。

全27動画。

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